もうかりやっこ

  • 2011/07/01(金) 00:16:53




         「もうかりやっこ」誕生


 江戸後期より伝わる「日本三奴の一つ黒奴」を今年も岩槻まつりで、披露することになったやっこさん。
 ある日、黒奴装束で「黒奴」縁の久伊豆神社で早朝一人で参拝を行っておりました。
 拝殿前で参拝を終えようとしたその時、奥の本殿がまばゆい光に包まれ、あまりのまぶしさに目を閉じてしまいました。しばらくすると光を感じなくなり、目を開けたところ、目の前に後光のさす神さまが現れました。
 その表情は非常ににこやかで、安らぎを感じるものでした。
 そして、その神さまはゆっくりこう申したということです。
「今の世が非常に暗い世となってしまっている。そこでそなたにこれらのものを授けるので、この世を明るく照らしていってもらいたい。」
 その言葉とともに、やっこさんの体が光に包まれました。そして光がおさまったかと思うと、それまで身につけていた黒奴の装束が様々なものへと様子を変えていました。
 後光のさす神さまはこう続けました。
「この世を明るくするために、まちの商売が発展するように頭には商売繁盛の小判の笠を、歩いた場所が黒字となるように白足袋が黒足袋になり、足下には良き伴侶に恵まれるように金の草鞋を、・・・ 」
 やっこさんは、あまりの出来事に全ての言葉が聞きとれませんでした。
 しかし最後の言葉は、はっきりと聞こえました。
「今後は、『もうかりやっこ』と名のり、この世を明るくしていきなさい。」

 そして、最後の声が終わると同時に、再びまばゆい光が周りを照らし、まぶしくて目を閉じてしまいました。光が消えて目を開けたところ、その神さまはもう居ませんでした。
 もうかりやっこ誕生のお話でした。